コラム

成年後見制度利用例

成年後見制度利用例~定期預金の解約

成年後見制度利用例~定期預金の解約

認知症などで判断能力が不十分になった人を支援するための制度が、成年後見制度です。自分の親が認知症になり、判断能力が大きく低下してしまった場合などに利用されることが多いでしょう。ここではお母さんが認知症になり、金融機関での手続きがスムーズにできなかったAさんが、法定後見の申立により問題を解決したケースを見てみましょう。

ご相談内容

会社員のAさんは既婚ですが、お母さんと同居しています。Aさんのお母さんは83歳で、数年前から認知症の症状が出始めました。当初はお母さんの症状は軽度だったため、Aさんは自宅で介護をしてきました。しかし、最近は症状が重くなり、徘徊などの問題が起こるようになり、Aさんは自宅での介護は限界だと考えるようになります。

このような経緯から、お母さんを老人介護施設へ入所させることにしたAさん。お母さんは自分名義の定期預金があったので、Aさんはこれを解約して、施設の入所費用に充てようと考えました。
しかし、Aさんは金融機関で解約手続きをする際に、「本人でないと解約できない」と言われてしまいます。お母さん本人は手続きができない状態だったため、何回も金融機関と交渉しましたが、やはり解約は不可能でした。

Aさん自身には、お母さんの入所費用を立て替える余裕はありません。Aさんはどうすれば良いか悩んだ挙句、相談に訪れました。

今回のポイント

Aさんのお母さんは認知症により、判断能力が低下しています。このように判断能力が低下したことにより、自分で財産の管理や契約などができなくなった人を保護するために、家庭裁判所に申し立てて、成年後見人を選任してもらうのが「法定後見制度」です。

法定後見を申し立てる際には、Aさん自身だけでなく、信頼する人を候補者として指定することができます。その後、裁判所で候補者が適任かどうかを審理しますが、司法書士を成年後見人候補者として申立した場合は、そのまま成年後見人に選任されることが多いでしょう。

ご対応の流れ

1. Aさんが相談のため来所。成年後見手続きを受任。
2. 家庭裁判所に後見開始の申立。
3. 司法書士が成年後見人に選任される。
4. 成年後見登記完了後に、司法書士が金融機関で定期預金を解約。

結果

Aさんのお母さんは、自分で定期預金の解約などの手続きをすることが不可能な状態だったため、法定後見の申立をするのが適切であると考えられます。そのため、司法書士が成年後見人候補者となり、裁判所に申立を行いました。

申立の結果は、裁判所で司法書士を成年後見人とする審判が確定し、成年後見登記がされるということになりました。成年後見の登記完了後、司法書士は登記事項証明書を持って金融機関へ行き、定期預金を解約。これにより、Aさんはお母さんの老人介護施設入所費用を用意することができました。

このような流れを経て、Aさんのお母さんは老人介護施設に無事入所することができました。Aさん家族は、月に何回かお母さんのいる施設を訪問しており、お母さんも寂しい思いをすることなく生活しています。

対応日数

2カ月

費用

後見開始申立費用:10万円

成年後見人が選任されると、判断能力が低下した本人に代わって契約などができますから、手続きがスムーズに進むようになるでしょう。なお、法定後見の申立をし、実際に成年後見が開始するまでには3~4か月程度はかかると考えられます。認知症で判断能力が低下した家族がいる場合には、早めに専門家に相談し、成年後見制度の利用を検討しましょう。