コラム

成年後見制度利用例

成年後見制度利用事例ケース~ご自身の将来の心配

成年後見制度利用事例ケース~ご自身の将来の心配

高齢になって物忘れがひどくなってくると、「この先自分が認知症になったらどうしよう」と不安になることもあるでしょう。そのような際に、将来の不安を解消するため方法として、判断能力があるうちに任意後見人を選んでおくという方法があります。ここでは、自分の財産管理を任せられる親族がいないため、任意後見制度を利用して将来に備えたAさんのケースを見てみましょう。

ご相談内容

Aさんは70代の男性。10年ほど前に奥さんを亡くし、それからは一人で生活してきました。Aさんは、現役の頃は社長として活躍してきましたが、70歳になった頃から物忘れがひどくなり、今後の自分の生活についてだんだん不安を感じるようになりました。

Aさんには子どもがおらず、また自分の財産管理を任せられるような親族もいません。どうしたものかと悩んで相談に訪れました。

今回のポイント

Aさんは物忘れがひどくなってきたとはいえ、現段階での判断能力は、低い状態ではありません。そのため、Aさんは自分の意思で成年後見人を選び、任意後見契約を結ぶことも可能です。
なお、Aさんは一人暮らしですから、判断能力が低下しても周りに気付ける人がいないため、すぐに任意後見開始の手続きをすることはできない可能性があります。このような場合、信頼できる人との間で見守り契約を締結しておくと安心です。

見守り契約とは、自分の健康状態や生活の状況を常に把握してもらうために、定期的に連絡をとってもらうという契約です。見守り契約を結んでいれば、判断能力が低下したときに、速やかに後見開始の手続きをとってもらえるというメリットがあります。任意後見契約と見守り契約は、セットで締結されることが多くなっています。

ご対応の流れ

1. Aさんが相談のため来所。任意後見などの手続きを受任。
2. Aさんと司法書士との間で、任意後見契約と見守り契約締結の準備。
3. 公証役場で公正証書を作成。任意後見契約の登記がされる。
4. 司法書士による見守り開始。

結果

まだ判断能力のあるAさんは、自分の意思で任意後見人を決めることができます。任意後見人には、親族や知人を指定することもできますが、適当な親族、知人がいない場合には、専門家に依頼するケースが多いようです。Aさんの場合には、司法書士が任意後見人となる形で任意後見契約を結ぶと同時に、司法書士との間で、見守り契約も結びました。

なお、任意後見契約は、法律の専門家が作成する公正証書で締結しなければ有効になりません。見守り契約についてはこのような要件はありませんが、併せて公正証書にするのが一般的です。

Aさんは、任意後見契約と見守り契約を締結したことにより、将来の不安が少なくなりました。司法書士と定期的に連絡をとることにより、何かあったときに気軽に相談できるという安心も得ることができました。

日数

2カ月

費用

任意後見契約、見守り契約公正証書作成費用:30万円

任意後見契約の締結後、本人の判断能力が低下した際には、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立することにより後見手続きが開始します。なお、任意後見人を専門家に依頼する場合には報酬を支払わなければいけませんが、任意後見人の報酬については任意後見契約締結時に決めておきます。