コラム

成年後見制度利用例

成年後見制度利用事例ケース~息子の将来

成年後見制度利用事例ケース~息子の将来

知的障害の子どもの世話をしている親御さんにとって、自分が亡くなった後子どもがどうなってしまうのか気がかりと思います。また、自分が認知症になってしまうなど、子どもの世話ができなくなってしまうことも考えられます。ここでは、知的障害の息子さんを持つAさんが、息子さんの将来を考えてとった対策について見てみましょう。

ご相談内容

70代の主婦Aさんには、知的障害をもつ息子さんがいます。Aさんのご主人は既に他界しており、Aさんは息子さんと2人で生活をしています。

Aさんは自分が年老いてきたことから、自分が亡くなった後の息子さんのことを心配するようになりました。息子さんは自分で身の周りの世話をしたり、財産を管理したりすることができません。Aさんは、息子さんの将来のためにどのような対処をとれば良いのか悩み、相談に訪れました。

今回のポイント

知的障害者の場合、成人するまでは、親が法定代理人として身の周りを世話したり、財産を管理したりできますが、成人した後は法律上、これらを行う人がいなくなってしまいます。実際には成人後も親が子どもの面倒を見ているケースが多いですし、当面の間はそれで大きな不都合はないかもしれません。しかし、その親が高齢になってしまえば、子どもの将来が不安になるのが当然でしょう。

このような場合、まずは成年後見制度を利用することをおすすめします。息子さんに成年後見人を選任しておけば、息子さんの今後について、Aさんの心配も少なくなるでしょう。また、Aさん自身も高齢のため、いつ判断能力がなくなるかわかりませんから、自分についての対策も講じておく必要があります。Aさん自身はまだ判断能力がある状態ですから、任意後見契約を結ぶことで、予め任意後見人を選任しておくことができます。

なお、任意後見は、判断能力がなくなってから契約の効力が発生します。判断能力の低下がないかどうか定期的に確認してもらったり、判断能力はあるけれど体が不自由になったりしたときのために、見守り契約や財産管理等委任契約なども結んでおくと、さらに安心です。

ご対応の流れ

1. Aさんが相談のため来所。成年後見などの手続きを受任。
2. 家庭裁判所に、Aさんの息子さんの法定後見開始を申立。司法書士が成年後見人に選任される。
3. Aさんと司法書士との間で、任意後見契約と財産管理兼見守り契約締結の準備。
4. 任意後見契約での代理権の範囲について、ライフプランを作成。
5. 公証役場で任意後見契約と財産管理兼見守り契約の公正証書を作成。

結果

Aさんの息子さんについては、司法書士を後見人候補者として、裁判所に法定後見開始の申立てをし、審判が確定。成年後見登記が完了して、手続きが終了となりました。
また、Aさんについては、司法書士との間で任意後見契約、財産管理兼見守り契約を締結し、これを公証役場で公正証書にします。その後、任意後見契約の登記が完了し、手続きが終了となりました。

このように、Aさんは自分の判断能力がなくなったときや亡くなったときに備えて準備することで、安心して生活を送ることができるようになりました。

対応日数

3カ月

費用

40万円

以下、内訳
法定後見申立費用 10万円
任意後見契約、財産管理兼見守り契約公正証書作成費用 30万円(公証人費用込み)

判断能力があるうちは法定後見開始の申立はできませんが、将来が心配な場合は、任意後見契約を結んでおくと良いでしょう。また、任意後見契約時に見守り契約や財産管理等委任契約も同時に結んでおけば、将来の対策はより万全になります。