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「任意整理」の説明と手続きの流れ

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債務整理の中でいちばん手軽なのが任意整理です。任意整理では裁判所を通さず、弁護士や司法書士に債権者と交渉してもらい、債務を減額することになります。任意整理のメリットやデメリット、任意整理の流れについて知っておきましょう。

任意整理とは

任意整理とは、裁判所を通さず、直接債権者(お金を借りた相手)と司法書士が交渉し、借金の返済条件を変更してもらう方法です。
任意整理では、債務の元金を減らすことができるケースがあります。サラ金業者からの借入の場合には、利息制限法の上限を超えている利息を支払っていることもありますから、これを利息制限法所定の利率に引き直し計算することで、残債務が減ることになります。

加えて、任意整理ではほとんどの金融業者が以後の利息をカットしての分割返済に応じてくれますから、支払総額はさらに減ることとなり、借金の支払が楽になります。金融業者を相手に個人で交渉を試みても取り合ってもらえませんので、任意整理は司法書士に依頼しましょう。

任意整理のメリット

任意整理は裁判所を通さないため、手続が簡単にすみます。自己破産のように官報に掲載されることもありませんから、第三者に知られることもありません。手続費用も安くすみます。
また、個人再生や自己破産ではすべての債権者を対象に手続をしなければなりませんが、任意整理では、一部の債権者とのみ交渉ができます。保証人が付いている借金だけを除外して手続するといったこともできますので、保証人に迷惑をかけなくてすみます。

任意整理のデメリット

任意整理では自己破産のように借金を免除してもらえるわけではありませんから、ある程度借金が残ってしまいます。和解後には和解条件に従って返済を行わなければなりませんし、もし和解後に再び支払困難になってしまえば、自己破産するしか道がないこともあります。
また、任意整理をした場合にも、信用情報機関に事故情報が登録されてしまいます。信用情報機関から事故情報が削除されるまで5~7年程度かかります。その間はブラックということになり、ローンを組んだり、新たな借入をしたりできなくなってしまいます。

任意整理の流れ

任意整理を司法書士に依頼すると、まず、司法書士から債権者に対して受任通知書を送ることになります。債権者は受任通知書を受け取った後は債務者に対して直接支払いを請求することができませんから、これにより取り立てがストップします。
次に、債権者から債務者のこれまでの取引履歴を取り寄せます。通常は受任通知書を送るときに取引履歴の送付も依頼します。

債権者から取引履歴が送られてきたら、利息制限法に基づいて引き直し計算を行います。これにより残債務が減りますから、減った額を基準に和解案を作成します。和解案では、利息のカットと3年から5年の分割払いを求めるのが一般的です。

和解案ができたら、司法書士はそれを債権者に提示して交渉を行います。交渉の結果債権者の同意が得られれば、和解契約を締結し、契約書を交わすことになります。
和解が成立した後は、債務者は和解条件に従って返済をしていくことになります。
なお、利息制限法引き直しの結果、もし過払金が発生していれば、過払金返還請求ができますから、お金が戻ってくることもあります。